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六 カインは弟を殺した
楽園を追われたアダムとエヴァは、その後、神さまから男の子を授かり、カインと名づけました。続いて次男のアベルも生まれましたが、カインは畑仕事をし、アベルは羊飼いをしていました。弟のアベルは気だてのよい人でしたが、兄のカインは、これと反対に、心のよくない人でした。
ある日、カインは自分の畑で出来た穀物を、また弟のアベルは自分の飼っていた羊から一番よい子羊を、それぞれ神さまに献げました。神さまは、アベルとその献げものは喜ばれましたが、カインとその献げものは、み心にかないませんでした。それで、カインはひどく腹をたててうつむいたまま行きましたので、神さまはカインに言われました、「カインよ。おまえはなぜ怒るのか。おまえがよい事をすれば、それだけ報いられるのだ。しかし、悪いことをすれば、それだけ罰せられる。おまえは自分の悪い欲を抑えなさい。」しかし、カインは、神さまの戒めを軽んじました。
ある日のこと、カインは、弟のアベルに、「いっしょに野原へ行こう」と言って誘い出し、ちょうど野原に着いたとき、不意にうしろから飛びかかって、アベルを殺してしまいました。
そのあと、神さまはカインに、「おまえの弟アベルはどこにいるのか」と厳しくお尋ねになりました。ところがカインは、「私は知りません。私は弟のお守りではありません」という答えをしました。これを聞かれた神さまは言われました、「おまえはなにをしたのだ!おまえの弟の血は、私に向かって叫んでいる。そのために、おまえはこの地上で、のろわれた者になるのだ!」
こうしてカインは、この時から、難儀をしながらあちこちさまよい、とうとう、遠い国に行くことになってしまいました。
その後も、アダムとエヴァにはたくさんの子供が授けられ、人間はだんだんふえてきましたが、その中には、神さまのことを忘れた者もたくさん出てきました。
一 もしあなたが、お父さんやお母さんにそむこうとか、友だちを打とうとか、人がねたましいとか、つまみぐいをしようとか、あるいは、嘘をつこうというような気持ちが起こったら、すぐに、その悪い心を抑えるようにしなさい。それには、心の中でつぎのように思いなさい。
「これは罪だから決してするまい。神さまは罪が大嫌いで必ずそれを罰せられる・・・。」